北出 弘紀 / Hironori Kitade / DON KD


釣れるルアーの秘密

 陸地で生きる我々人間が、刻々と変化する自然の流れや水中の出来事を完全に捉えることは困難であり、ましてや修羅場をくぐり抜けてきた巨大魚の行動の一部始終を予測することは不可能なことです。

 しかし「釣り名人」と呼ばれるベテランアングラー達は、自然や宇宙の営みを知り、まるで透視するかのように目に見えない水中での出来事を知ることができます。

 そして、あるタイミングで自然と一体化するとき、想像を絶する大物との出会いが訪れ、時に釣り人は自然を司る「神」となります。

 我々アングラーは、その神の領域に近づくための答えを求め、今日もフィールドで試行錯誤を繰り返します。

 魚を探し、誰よりも遠くにルアーを飛ばし、軌道やレンジを正確にトレースし、魚を掛け、確実にランディングする能力。人間に可能な技術をマスターした末、絶対的なルアーであるとか、絶対的なカラーが存在することを経験します。

 「これしか釣れない」というシチュエーション・・・・

 釣り方やテクニックを超えたところの、ルアー自体が持つポテンシャル。まるで魔法のような力で魚をおびき寄せるアイテムがこの世には存在します。

 ライアル・ワトソンという生物学者が提唱した「百匹目の猿 現象」をご存知でしょうか?

 無人島に暮らす猿の一匹がある日芋を洗って食べるという行動を起こしました。すると次々に他の猿もそれを真似て芋を洗って食べるようになり、ある一定の数(100匹目)を超えたとき、全く別の離れた山に住む猿の群れが芋を洗って食べるという現象が起きた。

 これはまさにスイスの心理学者、ユングが提唱したシンクロニシティー(Synchronicity)、共時性です。

 つまり生き物は、捕食や身の危険を感じるときなど、生命にかかわる重要なことに関し、互いに潜在意識の中で情報伝達できる方法を持っているのではないか?

 特に言葉を持たない生物には顕著に備わり、意識の共時性により危険を回避するとしたら・・・どんなに釣れるルアーも徐々に効果が薄れていくのは、このような理由からだと私は考えています。

 つまり、魚を釣るためにはアクションの違うルアーを作り続けるか、もしくは魚に危険を感じさせないアクションのルアーを作るしかないのです。

 競争率の高い島国日本で、確実に魚を釣るためには、その共時性を回避するための工夫が必要です。

  NORTH CRAFT のルアーに採用している動きの多重変化=ヴァイナルアクションは、複合的な動きをルアー自体に持たせ、魚への影響を軽減しています。

 特にアングラーの密集しているフィールドで NORTH CRAFTのルアーが釣れる理由は、そこにあるのです。

 機能や操作性、集中力を持続させるためのリアルさやカラーリング、質感など、ルアーに求められる要素は様々ですが、やはりルアーの基本は魚を釣るための道具。

 ルアーそのものに魚を引き寄せる「何か」がなければ、どんなに美しいものでも価値はないのです。

 先人達が未だ追いかけ続けているその「何か」を探求し、アングラーが神の領域に近づくためのチケットを、私は創造し続けます。

NORTH CRAFT  ルアープロデューサー 北出 弘紀

Lure Producer  Hironori Kitade a.k.a DON KD


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